離婚の慰謝料とは?知っておきたい基礎知識を3分で解説!
有名人の離婚では、「莫大な慰謝料が支払われた」などと報道されることもあり、離婚の際には慰謝料の問題があることは、多くの方が把握していることでしょう。
しかし離婚に伴う慰謝料については、イメージが先行して、正確な知識を得られていないことも少なくありません。
たとえば、離婚しても常に慰謝料請求できるわけではないことや、高額な慰謝料請求が認められるケースは稀であることなどは、案外知られていないかもしれません。
本記事では、離婚の慰謝料について、知っておきたい基礎知識を解説していきます。
1.離婚の慰謝料とは
離婚の慰謝料とは
そもそも慰謝料とは、不法行為の被害者が受けた精神的苦痛について、加害者に対して請求できる損害賠償のことをいいます。
そして、離婚の慰謝料とは、配偶者の不法行為によって離婚することになった精神的苦痛を補填するために、請求できるお金になります。
注意すべきは、離婚すれば常に請求できるわけではなく、相手に不法行為といえる一定の有責行為があることが請求の条件になるという点です。
ただ単に離婚によって精神的な苦痛を受けたということでは、慰謝料を請求することはできません。
慰謝料請求できるケース
具体的に慰謝料請求できるケースとしては、配偶者の不貞行為によって離婚することになったり、悪意の遺棄によって離婚することになったりした場合が挙げられます。
不貞行為と悪意の遺棄は、法定離婚事由になりますが、夫婦間に生じる法的義務に反するため、不法行為が成立する可能性があります。
またモラハラや家庭内暴力などの行為があった場合にも、慰謝料請求できる可能性があります。
2.慰謝料は第三者にも請求可能
離婚の慰謝料は、配偶者だけでなく、第三者にも請求できることがあります。
たとえば配偶者の不貞行為が原因となって離婚することになった場合には、配偶者だけでなく、配偶者の不貞行為の相手に対しても慰謝料を請求できます。
なぜなら不貞行為は、配偶者と不貞行為の相手が共同して行った不法行為であるためです。
ただし双方に請求できるからといって、請求できる金額が二倍に増えるということではないので、注意が必要です。
3.慰謝料の相場
慰謝料の金額は、明確に決まっているわけではありませんが、裁判所では次のような事情を総合的に勘案して算定されることとされています。
・有責行為の程度や割合、内容
・婚姻期間や婚姻関係が破綻に至る経緯
・婚姻生活の状況や子どもの有無
・当事者の年齢や社会的地位
・有責行為が婚姻生活に及ぼした影響
・精神的苦痛の程度 など
したがって慰謝料の相場はケースバイケースといえますが、慰謝料請求の典型例ともいえる不貞行為を原因とする慰謝料の金額は、50万円から300万円程度ともいわれています。
現実的には、離婚で莫大な慰謝料請求が認められる可能性は少ないということは、知っておくとよいでしょう。
4.慰謝料の請求方法
慰謝料は、次のような方法で取り決めます。
夫婦で取り決め
慰謝料は、基本的に離婚協議の際に、財産分与や子どもの問題などとともに夫婦間で話し合って決めます。
合意できた場合には、口頭での取り決めだけではトラブルのもとになる可能性があるので、離婚協議書などの書面にしておくことが大切です。
なお強制執行認諾文言付き公正証書にしておけば、慰謝料の不払いがあったときでも相手の財産に差し押さえなどの強制執行をスムーズに行うことが可能になります。
調停で話し合い
夫婦の話し合いでは決められない場合などには、家庭裁判所に調停を申し立てて、調停手続きで解決を図ることもできます。
調停では、調停委員が間に入って話し合いを進めてくれるので、感情的にならずに取り決めることができるなどのメリットがあります。
裁判で決める
調停での話し合いで離婚や慰謝料などの離婚条件が決まらなければ、裁判を起こして、最終的に裁判所の判決によって決めることもできます。
5.慰謝料請求のタイミングに注意が必要
慰謝料の請求が認められる権利は、時効によって消滅するので、請求のタイミングに注意が必要になります。
不法行為に基づく損害賠償請求権は、「不法行為と加害者を知ってから3年」で時効により消滅します。また不法行為のときから20年経過することによっても請求権を行使することができなくなります。
そのため離婚の慰謝料も、基本的に、損害と加害者を知ってから3年で時効が完成します。
もっとも夫婦間の債務は、離婚成立から6か月間は時効にかからないとされているので、離婚後6か月間は慰謝料請求権がなくなることはありません。
しかし離婚成立後は相手と連絡がとりにくくなるなどのリスクもあることから、出来る限り離婚成立までに慰謝料の取り決めをして請求することが大切です。
6.まとめ
本記事では、離婚の慰謝料について、知っておきたい基礎知識を解説していきました。
離婚の慰謝料は、相手に不法行為が成立する場合に請求できるお金です。
請求する場合には、可能な限り離婚成立までに取り決めをしておくことがポイントになります。
- 相談内容
- 離婚・養育費・慰謝料
- 地域
- 選択なし 変更する≫