自己破産の手続開始の申立てにおける必要書類は?注意点も含めて解説
自己破産の手続きでは、申立時に多くの書類を揃えなければなりません。
借金の返済などに追われ、落ち着いて日々の生活を送ることが難しい中で、これらの書類を漏れなく準備することは、簡単なことではありません。
本記事では、自己破産手続開始の申立時の必要書類について、注意点も含めて解説していきます。
1.自己破産の申立て
自己破産の手続きは、原則として、債務者本人の住所地または居所を管轄する地方裁判所・支部が管轄になります。
申立てを行う場合には、管轄の裁判所に書面によって申し立てを行います。
申立てにおいては、主に以下のような書類が必要になりますが、裁判所によって多少異なります。
そのため、必ずご自身が申立てをする裁判所に確認をしながら、書類の収集・作成を進めていくことが大切です。
① 破産手続開始・免責許可の申立書
② 住民票
③ 陳述書
④ 債権者一覧表
⑤ 財産目録
⑥ 家計の状況
⑦ その他の書類
2.自己破産手続開始の申立てにおける必要書類
では、申立て時の必要書類のイメージを持つために、それぞれの書類について簡単にご説明していきましょう。
2-1.申立書
申立書には、申立人の住所や氏名、申立ての趣旨や理由を記載します。そして、申立ての理由では、支払い不能の状態が存在することを明らかにします。
裁判所によって定型の書式が備えられていることもありますが、書式がなければ申立先の裁判所に相談して作成するとよいでしょう。
2-2.住民票
申立前3か月以内の本籍地の記載がある住民票の写しを取得して提出します。
2-3.陳述書
陳述書は、非常に重要な書類になります。
自分の経歴や家族関係、住居の状況のほか、破産手続開始申し立てに至った事情などを記載します。
特に申立に至った事情については、申立てが認められるかどうかを決める重要な部分です。支払い不能の状態にあることを正確にくわしく記載することが求められます。
2-4.債権者一覧表
債権者一覧表も重要な書類です。
お金を返さなければならない相手については、すべて記載します。
たとえば、金融機関やサラ金などのほか、預貯金口座がマイナスになっている場合や完済できていない住宅ローンがある場合も記載が必要です。
また、親戚などに立て替えてもらっているお金がある場合、他人の借金を保証している場合などにも、記載しなければなりません。
わざと一部の債権者を記載しなかったり、申立ての直前に特定の債権者にだけ全額返済したりすれば、免責不許可事由に該当してしまうので注意が必要です。
2-5.財産目録
保有する資産について、漏れのないように記載していきます。
不動産登記や自動車登録で名義人になっているものについては、実際には使用していなくても記載します。
2-6.家計の状況
通常は、申立て前2か月分の家計の状況を記載します。
債務者本人だけでなく、同居している全員を含めた家計の状況を記載する必要があります。
2-7.その他の書類
そのほか、収入を証明するための給与明細書や源泉徴収票、所得・課税証明書、不動産があれば登記事項証明書、すべての預貯金口座の通帳コピーなどが必要になります。
また、生命保険に加入していれば生命保険証書と解約返戻金の証明書、生活保護を受けていれば生活保護受給証明書などケースに応じてさまざまな書類の提出が必要になります。
3.自己破産申立時の必要書類における注意点
最後に、申立時の必要書類についての注意点をみていきましょう。
3-1.正直に記載する
自己破産申立時の必要書類には、事実を漏れなく正直に記載する必要があります。
自己破産では、免責を得るために、すべての財産を清算しなければなりません。
しかし、財産目録にすべての財産を正直に記載することなく、財産を隠したまま破産すれば、詐欺破産罪という罪に問われる可能性があります。
詐欺破産罪の罰則は、10年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方とされています。
3-2.漏れのないように記載する
わざと記載しなかった場合でなくても、債権者一覧表に不注意で記載が漏れてしまった債権者に関しては、免責対象から外される可能性があります。
その場合、自己破産手続きで免責許可を得たとしても、免責対象から外れた債権の返済義務は残るので、完済まで返済しなければならなくなるリスクがあります。
3-3.専門家に依頼して進めた方が確実
これまでのご説明から、債務者本人だけで申立時の必要書類の収集や作成を行えば、時間や労力がかかることはイメージできると思います。
しかも、記載に不備などがあれば、最悪の場合、自己破産自体が認められなくなってしまうリスクがあるので注意が必要です。
4.まとめ
本記事では、自己破産手続開始の申立時の必要書類について、注意点も含めて解説していきました。
自己破産を検討する場合は、弁護士などの専門家に依頼して進めた方が確実です。
もし、お一人で手続きを進める場合には、管轄の裁判所に相談したり、法律相談センターなどを利用したりして、必ず外部のアドバイスを受けるようにしましょう。
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