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個人再生できなくなる?再生手続の廃止・再生計画の取消とは

個人再生では、利用条件のほか、再生手続の廃止の可能性についても見通しをもった上で申立てを行う必要があります。
なぜなら、個人再生手続きを開始することができても、廃止されてしまえば、個人再生を実現することはできず無意味なものとなってしまうためです。
また、再生手続きが再生計画の認可が決定して終結した後でも、一定の場合には、再生計画の取消があるので、注意が必要になります。
本記事では、個人再生を実現するために知っておきたい再生手続の廃止再生計画の取消について、解説していきます。

1.再生手続の廃止と再生計画の取消

個人再生によって債務を圧縮するためには、完済までの流れをストップさせずに最後まで遂行する必要があります。
しかし、再生手続の廃止・再生計画の取消があれば、その流れはストップしてしまい、それまでの苦労が無駄になってしまう可能性があります。
そのため、個人再生を検討する場合には、再生手続の廃止・再生計画の取消についても理解しておくことが大切になります。

1-1.再生手続の廃止とは

再生手続の廃止とは、再生手続きの途中に一定の事実があった場合に、手続きを中止して再生手続きを終了させることをいいます。
再生手続きは、最終的には、裁判所によって再生計画の認可または不認可の決定という形で判断が下されます。
しかし、その前でも、一定の事実があれば、裁判所によって再生手続廃止の決定がなされることになっています。

1-2.再生計画の取消とは

再生計画の取消とは、裁判所の認可を得て成立した再生計画について、一定の場合に、事後的になかったことにするものです。
再生手続きについて裁判所の認可決定が確定した場合、再生手続は終結に向かいます。
そして、その後は、債務者が再生計画を遂行する段階に入ります。
しかし、一度再生計画が認可されたからといって、絶対にその計画が覆らないというわけではなく、取消によって新たな方法を模索しなければならない可能性があります。

2.再生手続が廃止される場合とは

次のような場合に、再生手続きが廃止されます。

2-1.再生計画案に問題がある場合

民事再生法では、以下の再生計画案に問題があるようなケースで、再生手続きが廃止されること規定しています。
・ 決議に付する再生計画案が作成される見込みがないことが明らかになった場合(民事再生法第191条1項)
・裁判所の定めた期間内に再生計画案の提出がない場合や、提出があっても決議に付する内容としては不十分である場合(第191条2項)
認可されたときには、再生計画案にもとづいて債権者への弁済などが行われていくのですから、当然、その再生計画案は決議にかけるだけの十分な内容である必要があります。
しかし、それだけのものが準備できなければ、手続きは進めることができないので、廃止によって終了することになります。

2-2.債務者側に問題がある場合

次のような個人再生を申し立てた債務者に義務違反などの問題があるようなケースでも、再生手続きが廃止される可能性があります。
・債権届出期間の経過後再生計画認可の決定の確定前に、再生手続開始の申立てについて、事由のないことが明らかになった場合(第192条1項)
・再生債務者が裁判所の発した保全処分による命令に違反した場合(第193条1項)
・再生債務者が財産目録に記載すべき財産を記載しなかった場合(第237条2項)
・再生債務者が財産目録に不正の記載をした場合(第237条2項)

2-3.債権者決議で可決されない場合

小規模個人再生の場合には、再生計画案が債権者決議で可決されないときにも、廃止決定がなされます(第237条1項)。
具体的には、再生計画案について不同意の債権者が、「①議決権者総数の半数以上を占めているとき」または「②議決権の金額が議決権者の総額の2分の1を超えているとき」には、再生手続は廃止されます。

3.再生計画が取り消される場合とは

次のような場合には、認可された再生計画が取り消される可能性があります。
再生計画が不正の方法によって成立した場合(第189条1項)
・再生債務者などが再生計画の履行を怠った場合(第189条2項)
・譲受などの行為に裁判所の許可が必要とされるケースにおいて、債務者が許可を得ないで所定の行為を行った場合(第189条3項)
計画弁済総額が、再生計画認可の決定があった時点で破産手続きが行われた場合における基準債権に対する配当の総額を下回ることが明らかになった場合
再生計画の認可決定が確定した後に、債務者が財産を隠していたことなどが分かった場合には、計画の取消によって手続きをストップさせることができることになります。

4.まとめ

本記事では、個人再生を実現するために知っておきたい再生手続の廃止と再生計画の取消について、解説していきました。
個人再生では、再生手続き中には廃止、再生計画認可決定後には再生計画の取消がなされる可能性があります。
しかし、債務者自身が財産隠しをしないなど予め注意しておくことによって、廃止や取消を回避できる場合もあります。
弁護士に個人再生を依頼する場合には、このような注意点についても確認しておくとよいでしょう。

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