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自己破産について

自己破産とは

債務の返済が不能な状態に陥り、他の債務整理手続きをしたとしても返済を継続する見込みがない場合には、裁判所の手続きで財産を手放す代わりに債務を免除してもらうことができます。この手続きを自己破産といいます。

返済不能な状態とは、病気などにより就労が不可能な状態になったというような場合が挙げられます。

自己破産というと、マイナスなイメージがあり手続きに踏み出せない方がおられますが、自己破産とは、「やむを得ない状態に陥ってしまった場合に原則として一度だけ生活を立て直してやり直すことを法律が認めている」ものなのです。まずは、イメージだけにとらわれずによく制度を知る必要があります。

自己破産の種類

①同時廃止

自己破産は、債務を免除してもらう代わりに財産があればそれを換価処分して返済に充てる手続きですが、換価できるような財産がなく、免責不許可事由もない場合にはそれ以上できることはないため手続きが終了します。これを同時廃止といいます。

②管財事件

換価する財産がある場合には、換価して債権者への配当(返済)に充てるなどの手続きが必要になり、その財産を調査・管理・換価・配当をするために破産管財人が選任されます。この場合の自己破産手続きを管財事件といいます。

また、借金の原因がギャンブルなどで債務を容易に免除すべきでない場合(免責不許可事由に該当する場合)にも、管財事件になる場合があります。 弁護士に依頼すると「少額管財事件」となり、費用や期間の負担が軽減される可能性があります。(裁判所によって運用が異なります。)

自己破産ができる要件

①債務の返済が不能な状態にあること

生活を切り詰めるなどすれば、任意整理等で返済できる見込みがあるような場合にはまずは返済していく方法を検討すべきです。

②免責不許可事由がないこと

免責不許可事由とは、簡単に言うと「このような債務者の債務は免除すべきでない」といった事実がある場合です。免責不許可事由は、破産法第252条に列挙されていますが、例えば借金の原因がギャンブルや浪費によるものである場合(破産法第252条第1項第4号)、過去7年以内に免責を受けたことがないこと(破産法第252条第1項第10号)などです。ただ、ギャンブルなどが借金の原因であれば必ず免責されないわけではありません。裁判所の運用によって対応は異なりますが、免責審尋(面接)に呼ばれて、反省度合いや破産手続き終了後に生活態度が改善されると思われる場合には裁判所の裁量で免責許可が出ることも多いです。免責不許可事由にあたる事実がある場合には、自己破産手続きを多く受任している弁護士や司法書士に相談するのがよいでしょう。

資格制限とは

自己破産手続きに入ると、士業・警備員・保険の外交など一定の職業には就くことができなくなります。もちろん、これは一生ではなく免責許可決定が確定するまでの期間ですから、数ヶ月程度から長くても1年程度ですが、これにより生活ができなくなる場合には自己破産申し立ての障害になります。回避する方法としては、例えば警備会社で警備員をしている場合には、破産手続きが終わるまでは警備会社の事務職などの別部署に異動してもらえないかを相談してみるのも一つの方法です。

免責されない債務

債務の種類の中でも、税金・損害賠償額・扶養義務(婚姻費用や養育費)、罰金等による債務などは、破産手続きを通しても免責されることはありません。これを「非免責債権」といいます。(非免責債権、破産法第253条第1項)

自己破産にかかる費用

自己破産を弁護士や司法書士に依頼した場合は、おおよそ20万円〜になることが多いと考えられます。事務所の報酬規定や案件の内容により差異がありますが、報酬以外にも着手金や実費等がかかります。

この他に、裁判所に予納金を納める必要があります。予納金は、同時廃止の場合は1万円〜3万円程度で官報への掲載費用に充てられます。管財事件の場合は、20万円以上必要となり、その予納金は管財人の報酬に充てられます。

自己破産のデメリット

①信用情報機関に金融事故情報が記録される

債務整理の手続きすべてにおいて共通するデメリットですが、信用情報機関に金融事故情報が記録されます。金融事故情報とは、長期滞納や債務整理をした場合にその旨が記録され、その後クレジットカードの申し込みや新たな借り入れをする際に影響を受けます。

一般的には、免責許可確定してから5年〜10年程度は、クレジットカードの作成や新たな借り入れ等が難しくなります。ですから、ローンを組んでの買い物や携帯電話の機種変更をする際に端末を割賦払いにすることもできなくなります。

②官報に住所・氏名が掲載される

個人再生や自己破産をすると、官報という国が発行する新聞に住所・氏名が掲載されます。官報は、官報販売所でのみ発売しているため、一般の方で購読しているケースは極めて少ないといえます。ただ、掲載される以上は個人再生や自己破産をしたことを知り合いに知られてしまう可能性はゼロではありません。
※この他にも、前述した資格制限や手続き中は裁判所の許可なく転居や旅行が制限されるなどのデメリットもあります。

まとめ

自己破産は、債務が免責されるため人生の再スタートを切るための手続きです。自己破産のマイナスイメージだけにとらわれて、手続きに踏み切れず迷われているのであれば、自己破産の本来の意味をしっかり理解し、手続きを通して今までの生活を見直して生活を立て直すチャンスですので、早めに弁護士や司法書士の専門家に相談することをおすすめいたします。

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