任意整理について
任意整理とは?
債務整理には、裁判所の手続を利用する「個人再生手続き」「自己破産手続き」がありますが、裁判所の手続を利用せずに借金の返済を楽にする方法として「任意整理」があります。
任意整理は、将来発生する利息をカットしてもらい、すでに発生している利息と元本額のみを分割で返済していく手続きをいいます。
任意整理の「任意」とは、債務者が選択的に手続きを行えることを意味しており、例えばA社100万円、B社30万円、C社20万円の総額150万円の債務がある場合に、A社のみの任意整理を行うこともできますし、A社、B社の2社だけ行うこともA社、B社、C社の3社すべての手続を行うこともできます。
将来の利息をカットするということは、債権者にとって、以後、利益がなくなるということを意味します。したがって、債権者は必ずしもこの申し入れを受け入れる必要はありませんが、弁護士や認定司法書士が代理人として交渉することにより、多くの貸金業者は合意してくれるのが通常です。ただ、利息をカットした後の元本をおおむね3年~5年程度で完済できる見込みのあることが一つの基準となっており、あまり長期間に及ぶようであれば分割支払いの交渉に応じてもらえないこともあります。 この3年~5年程度というのは、おおよそ貸金業者の内部で決めているため、債務整理を多く受任している弁護士や司法書士であれば把握しているかと思われますので、無理のない月々の返済可能額を弁護士・司法書士に相談して、分割返済計画を立てることが望ましいです。
任意整理の流れ
任意整理を開始する際は、まず弁護士や司法書士と契約をします。
契約後、依頼した弁護士や司法書士が債権者に受任通知(介入通知)を送ります。
この受任通知書(介入通知)を送ると、債権者からの取り立てが止まり、債権者から弁護士や司法書士にこれまでの債権調査票(取引履歴)などが送られてきます。この時点で利息制限法を超える利息での取引が過去にあれば、過払い金請求や減額の対象になりますが、ここ10年程度の取引であれば、利息制限法を超えていることはほとんどないものと思われます。
債権調査票(取引履歴)などに基づき、現時点で確定している債務額に対して、弁護士・司法書士が債権者と将来利息のカット及び分割回数の交渉をします。
交渉が成立すると、弁護士・司法書士と債権者で和解書(合意書)を交わし、以後その和解内容通りに返済を行います。 弁護士や司法書士との契約後は、契約内容に基づいて積立てを行いますが、これは返済原資があることの実績を作って交渉材料にしたり、和解後は速やかに返済を開始するためでもあります。
なお、分割返済は弁護士、司法書士が代わりに振り込みを代行してくれる場合もありますが、これには代行手数料がかかります。もちろん債務者ご自身で返済していくことも可能ですので、契約した弁護士、司法書士に相談をされるとよいでしょう。
任意整理による不利益(デメリット)とは?
上述のとおり、任意整理は返済を今よりも楽にするために有効な手続きと言えますが、デメリットもあります。
一番のデメリットは、完済から約5~10年程度はローンを組むことができず、クレジットカードを作ることもできなくなります。これは、俗に「ブラックリストに載る」と言われますが、実はブラックリストというリストはありません。信用情報機関が、債務などの情報を管理しており、任意整理の手続きをするとその旨が記載されます。
ある人がローンの申し込みやクレジットカードの申込みをすると、申込み先の金融機関がその申込者の信用情報を確認しますから、任意整理中であることがわかってしまいます。 任意整理は、申込みの時には返済見込みがあったにもかかわらず、途中で返済が困難になり利息カットをしなければ返済できなくなったということですから、ある一定期間は新たに借り入れなどができないシステムにしているわけです。逆に言えば、この期間に自分の生活を見直すことができるともいえます。
任意整理に向いている人の条件
安定した収入があり、返済原資を捻出しても毎月の収支がプラスになることが任意整理をする必要条件と言えます。
任意整理は、数年間にわたり返済を継続していく手続きですから、毎月決まった収入があり、その収入から支出を差し引いた額が常にプラスになっていなければ、数年にわたる返済を継続することができません。
もし、返済に充てる余裕がない場合には、任意整理では根本的に解決しないため、自己破産手続きを検討する段階にあるといってよいでしょう。 任意整理を検討されている場合は、早期に弁護士や司法書士の専門家に相談することをおすすめします。
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