任意整理の手続きの流れとは?任意整理を相談する際のポイントも解説
借金の返済が苦しくなったときに、はじめに検討する債務整理の方法が「任意整理」です。
任意整理は、債務整理の中でも最もデメリットが少なく、裁判所が関与せずに進められる唯一の手続きです。
任意整理は、通常、弁護士や司法書士に依頼して手続きを進めます。
しかし、債務者本人も任意整理の手続きの流れを知っておくことは、大切です。
本記事では、任意整理の手続きの流れについて、弁護士等に相談する際のポイントも含めて解説していきます。
1.任意整理の手続きの流れとは
任意整理の手続きの流れは、主に、次のような5つのステップに分けることができます。
①弁護士等に相談・依頼
②受任通知の発送・督促ストップ
③債務の確定と交渉
④和解成立
⑤和解後の支払い
以下で、それぞれの手続きについて詳しくみていきましょう。
2.弁護士等に相談・依頼
任意整理の相談・依頼先
任意整理は、債権者と直接交渉して、将来利息のカットや月々の返済額の減額によって、借金を完済できるようにする手続きです。
通常、債務者だけで直接債権者とこのような交渉をすることは難しいものです。
そのため弁護士や司法書士といった法律の専門家に依頼して、手続きを進めることになります。
なお、司法書士は、借金の借入額が140万円を超えるときには、任意整理の代理人となって交渉することはできないので、相談先を適切に判断することが大切になります。
弁護士等に相談・依頼
借金の返済が苦しくなったときには、どのような債務整理の方法をとるかに関わらず、弁護士等にまず相談することが大切です。
初回無料の法律相談や行政が主催する無料相談などを利用する方法でも良いので、弁護士等に相談します。
相談した結果、任意整理後の返済額の見込みや弁護士費用などに納得できるのであれば、弁護士等に任意整理を依頼します。
相談・依頼時のポイント
どの債権者にどれぐらいの債務があるのかは、債務整理の方法を判断する上でも重要な情報になります。
弁護士等に相談・依頼する場合には、「債権者」「債務額」「借金の開始時期」「保証会社の有無」などの情報について、出来るだけ詳細にメモなどにまとめて準備しておくことが大切です。
これらの情報が正確であれば、適切な債務整理の方法を判断しやすく、任意整理した場合の月々の返済額の見込みなどもスムーズに計算できます。
3.受任通知の発送・督促のストップ
任意整理を依頼すれば、和解成立までの手続きは、弁護士に任せることができます。
依頼を受けた弁護士は、債権者に対して、任意整理を受任したので今後の窓口は弁護士になる旨が記載された通知(受任通知)を発送します。
受任通知が債権者に到着すると、債権者は、法律によって直接債務者に取り立てをすることが禁止されます。
そのため債権者からの督促がストップするので、債務者は、督促の連絡のない落ち着いた生活を送ることが可能になります。
4.債務の確定と交渉
弁護士は、債務を確定させた上で、債権者と返済についての和解交渉を行います。
債務の確定
弁護士は、正確な借入額を調査するために、債権者に対して取引履歴の開示請求を行います。
取引履歴には、借入開始時から現在までの借入や返済に関する取引が記録されています。
弁護士は、開示された取引履歴をもとに、利息制限法に違反した利率での貸し付けがあれば、正しい利率で計算し直し、実際に残っている借金の額を確定させていきます。
なお、正しい利率で計算し直した結果、現在の債務は残らず過払い金が発生していたのであれば、返還請求することができます。
弁護士と債権者の和解交渉
取引履歴の開示や払いすぎた利息の引き直し計算によって債務の額が確定した後には、弁護士と債権者との交渉がはじまります。
債権者によっては、和解交渉に応じなかったり、応じても厳しい条件をつけてきたりする場合もあります。
一般的には、全国展開の消費者金融業者や銀行系の消費者金融業者は資力があるので、和解に応じることが多い傾向があるとされます。
交渉は、債務者の返済能力に応じて返済期間を約3年~5年の長期分割払いにしてもらうことを提案するなどして進められます。
5.和解成立
債権者との交渉を重ねる中で、合意に至れば和解が成立します。
和解が成立した場合には、後日のトラブルに備えて和解内容を記した書面が作成されます。
6.和解後の支払い
和解後は、和解内容に基づいた返済をしていきます。
その結果、完済できれば、借金の返済義務はなくなります。
和解内容に基づいた返済ができなかった場合には、個人再生や自己破産といった別の債務整理の方法を検討する可能性が高くなります。
7.まとめ
本記事では、任意整理の手続きの流れについて解説していきました。
任意整理の手続きは、弁護士等に依頼すれば、債務者本人が直接的に債権者とやり取りすることなく進められていきます。
また弁護士に依頼することによって、支払いの督促がストップするので、債務者の精神的な負担も大きく軽減できる可能性があります。
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