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刑事事件の流れについてわかりやすく解説

逮捕・刑事事件

1.刑事事件の流れ

 逮捕されると警察署等の留置施設で身体拘束を受けることになります。テレビの刑事ドラマで手錠をかけられるシーンを見たことがあると思いますが、実際の逮捕においても、同様に手錠をかけられます。留置施設内では手錠を外されますが、当然ながら施設内から出ることはできません。

 逮捕は身体拘束という人権侵害を伴うものですので、いい加減な理由で逮捕されたりはしませんし、また、期間の制限もあります。刑事訴訟法で手続きが明確に定められています。

 ここでは、逮捕されるのはどのような場合か、逮捕されるとどうなるのかなど、刑事事件の大まかな流れを解説します。

2.逮捕されるのは犯人であると疑うに足りるだけの相当な理由があるときです

 逮捕手続きについては刑事訴訟法で定められています。同法199条では、「被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があるとき」に検察官・司法警察職員(警察官)は逮捕できると定められています。この「相当な理由」とは、被害者の証言や物証等の証拠関係からみて犯罪行為があったことと、その犯人が被疑者である疑いが高い場合を指します。

 また、警察官らの独自の判断で逮捕されるわけではありません。警察官らが相当な理由があることを裁判官に疎明し、裁判官が令状を発した場合にのみ逮捕できます。裁判官の令状なしに逮捕されるのは、現行犯逮捕と緊急逮捕だけです。なお、緊急逮捕は、重い犯罪について、逮捕状を取っていては間に合わない場合など急速を要する場合のみ許されるものです。逮捕後に裁判官に令状を得なければなりません。緊急逮捕は、指名手配犯を見つけた場合などをイメージしていただけると分かりやすいと思います。

3.逮捕は48時間のみ認められます

 逮捕による身体拘束は48時間のみ認められます(刑事訴訟法203条)。警察は、逮捕後48時間以内に検察に事件送致しなければなりません。事件送致を受けた検察官は、勾留請求するかどうかを決めなければなりません。

 勾留とは、捜査に必要な期間において被疑者の身体を拘束することを指します。事件送致を受けた検察官が勾留請求の必要がないと判断した場合は、逮捕後48時間で身体拘束を解かれることになります。いわゆる「釈放」です。

 交通事故事件などでは、事故発生直後に警察官に逮捕されたが、勾留の必要はないとして釈放されるケースが多いです。釈放されても無罪が確定するわけではなく、その後、捜査機関が捜査を進め、釈放後も被疑者は警察署・検察庁に呼び出されて取調べを受けることがあります。最終的には検察官が起訴するかどうかを決めます。こうした逮捕後に釈放された事件のことを、被疑者が在宅のまま捜査を進めることから「在宅事件」と言ったりします。

4.被疑者勾留は10日~20日間です

 上で述べましたように、逮捕されると48時間以内に検察に事件送致され、検察官が勾留請求するかどうかを決めます。検察官が裁判官に勾留請求し、最終的には裁判官が交流するかどうかを決めます。勾留の理由としては、①住所不定の場合、②罪証隠滅する疑いがある場合、③逃亡の疑いがある場合に認められると刑事訴訟法で定められています(同法207条、60条)。検察官から勾留請求を受けた裁判官が①~③のいずれが疑われると判断した場合には10日間の勾留を認める決定を出します。この勾留のことを、起訴後の勾留と区別して「被疑者勾留」と言われます。被疑者勾留は、原則10日間、捜査の必要性がある場合に最大10日間の延長が認められます(同法208条)。

 つまり、被疑者として勾留されるのは10日~20日間です。この被疑者勾留の期間内に検察・警察は必要な捜査を行い、検察は、被疑者を起訴するかどうかを判断することになります。この被疑者勾留については、後述する保釈を使うことはできません。勾留を解くためには、勾留取消(同法87条)、執行停止(95条)などの手段しかありません。

 被疑者勾留の満期まで捜査した結果、検察官が、犯罪の疑いなし(嫌疑不十分)とか、被害者と示談が成立していて起訴する必要がないと判断した場合などにおいては、「不起訴処分」として事件終了となることがあります。その場合は、被疑者勾留満期の時点で釈放されることになります。また、検察としては事件終了とはしないが、起訴はしないという、いわゆる「処分保留」として釈放される場合もあります。

5.起訴されると保釈しない限りは裁判終了まで勾留が続きます

 逮捕・被疑者勾留され、その間捜査した結果、検察が犯罪の疑いが十分あると判断した場合には、裁判所に公判請求(起訴)することになります。起訴とは、具体的には、犯罪の内容を公訴事実として記載した起訴状を裁判所に提出することを指します。起訴されると、被疑者は被告人という立場になります。また、被疑者勾留は自動的に被告人勾留へと移行します。被告人勾留は2か月ごとに更新され、原則として裁判が終わるまで継続します。

 この被告人勾留へと移行すると、「保釈」という制度を利用することができます。保釈は、裁判所が決める一定の金額(通常は100万円~500万円前後)の金額を裁判所に納付し、判決が出るまでの間の身体拘束を解いてもらうという制度です。保釈金は基本的には裁判終了後に戻ってきます。他方、保釈では、裁判期日への出廷や、被害者への連絡禁止などの保釈の条件を裁判所が定めますが、その保釈条件を破った場合には保釈金は没取されることになります。

 起訴後概ね1ヶ月程度で第1回公判が開かれます。認めている事件であれば1回で終結し、約2週間後に判決が出されます。争いがある事件では、その争い方に応じて公判の進行予定が決められ、進行予定に沿って裁判が進められていきます。

 保釈せずに被告人勾留が続いている場合、判決で執行猶予付き判決を受ければ、その場で身体拘束が解かれます。実刑判決の場合、控訴することもできますが、控訴しなかった場合には、そのまま刑務所で服役することになります。

 保釈していた場合、判決の期日に出廷し、執行猶予付き判決を受ければ、そのまま元の生活に戻ることができます。他方、実刑判決を受けると、判決の直後に身体拘束を受けることになります。

6.刑事事件では弁護人を付けるようにしましょう

 以上、逮捕・被疑者勾留・起訴・被告人勾留・判決という刑事事件の一通りの流れを説明しました。上記の各過程では法律的な判断が必要になります。できる限り弁護人を付けるようにしましょう。逮捕された時点では、弁護士会が弁護士を派遣する刑事当番制度を利用できますし、被疑者・被告人の場合には国選弁護人を付けることができます。また、自費で私選弁護人を付けることもできます。刑事事件で被疑者・被告人の権利を守れるのは弁護士(弁護人)だけです。刑事事件でお悩みの方はぜひ弁護士にご相談ください。

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