法律相談ができる専門家検索リアン

任意整理では遅延損害金(延滞利息)のカットが可能?具体例で解説

借金の返済が苦しくなってきたと感じたときに、まず初めに検討したい債務整理の方法は「任意整理」といえるでしょう。
「任意整理」は、債務者から依頼された弁護士や司法書士が、将来利息や遅延損害金(延滞利息)の免除などを債権者と交渉する方法で進められます。
利息や遅延損害金がカットできると、支払い総額が大幅に減るので、月々の返済の負担が減り完済できる可能性が高くなります。
本記事では、任意整理でカットできる遅延損害金について、解説していきます。

1.遅延損害金とは

遅延損害金とは、借金を返済せずに滞納してしまった場合に課せられるペナルティのことをいいます。
契約で定めている返済日から1日でも支払いが遅れたときには、遅延損害金が発生します。
遅延損害金は、延滞利息とも呼ばれますが、通常の利息とは異なるものです。
通常の利息は、お金(元本)を借りていることの代償として支払うものであるのに対して、遅延損害金は、返済しなかったときの債務不履行の代償として支払うものという違いがあります。
ちなみに、クレジットカードなどには、期限の利益喪失約款というものが付いており、1回でも延滞すれば、以降は元本の残額の全額に対して遅延損害金がつくことになります。
多くの金融業者は、遅延損害金を年率20%前後で定めており、単純に考えると100万円の元本に対して年間20万円もの遅延損害金の支払いが必要になる計算になります。

2.任意整理と遅延損害金

では、遅延損害金と任意整理の関係をみていきましょう。

2-1.任意整理と遅延損害金

任意整理は、弁護士や司法書士といった法律の専門職が、銀行や消費者金融などと交渉することによって、債務整理を行う方法です。
任意整理は、裁判所が関与することなく進められる手続きであり、法律上定められているやり方があるわけではないため、柔軟な対応が可能であることに特徴があります。
しかし、債権者が合意しなければ成立しないので、債権者にとってメリットのある内容でなければ、まとまらない可能性が高くなります。
債権者側の立場では、元本だけでも回収しなければ赤字になってしまうので、元本をカットすることは難しいことは、ご理解いただけることでしょう。
しかし、将来利息・遅延損害金に関しては、自己破産などで元本まで回収できなくなるよりはましであると考えることもできるため、カットに応じてもらえる可能性が高くなります。

2-2.弁護士会の全国統一基準

任意整理には、法律上定められているやり方はないとご説明しましたが、弁護士は、弁護士会が定めている「多重債務者に対する任意整理を処理するための全国統一基準」をもとに交渉を進めることも少なくありません。
この基準には、将来利息や遅延損害金のカットを求めることが内容に盛り込まれており、現状多くの消費者金融業者が応じているといわれています。

3.任意整理の遅延損害金等カットの具体例

返済が滞ると、遅延損害金の支払いが必要になります。
そのため、毎月の返済額が増えるだけでなく、元本にあてられるだけの十分な金額を返済できない場合には、返済しても返済しても元本が減らないといった状況になります。
しかし、任意整理で遅延損害金や将来利息をカットできた場合には、返済を元本にあてることができるため、借金を大幅に減らせる可能性があります。
具体的にイメージをもつために、次のケースをみていきましょう。

3-1.総額170万円の借金があるケース

Aさんは、B社のクレジットカードでショッピングをすることが多く、買い過ぎて自分のお金でカードの支払いができないときには、消費者金融のC社から借金をしてカードの返済に回していました。
しかし、Aさんの返済可能な額は月3万円程度で、C社に関しては利息分しか支払うことができなくなってしまいました。
そこで、Bカードには50万円の借入、C社には120万円(利率15%)の借入がある状態で、任意整理をすることになったとします。

3-2.任意整理により月3万円で完済が可能に

任意整理をしなければ、C社には、利息だけでも年間18万円(月々1.5万円)の支払いが必要になります。
利息だけしか支払っていなければ、元本は減らないので、減らない元本に対して利息が発生し続けることになり、支払い総額はどんどん増えていきます。
たとえ3万円すべてをC社への返済にあてたとしても、完済までには、C社だけでも合計160万円以上支払う必要があり、B社への遅延損害金も発生し続けます。
しかし、任意整理をすれば、B社・C社ともに、遅延損害金・将来利息をカットして、元金を60回の分割払いにすることにして、月々3万円で完済できる可能性があります。

4.まとめ

本記事では、任意整理でカットできる遅延損害金について解説していきました。
任意整理をすれば、将来利息や遅延損害金をカットすることにより、支払い総額を大きく減らせる可能性があります。
細かな計算については複雑な部分もあるので、弁護士などに相談して確認することが大切です。

債務整理・借金問題を無料相談できる専門家を検索
閉じる
閉じる