支払督促とは?支払い督促が届いた時の対応について
支払督促とは?
「支払督促」とは、裁判所を通じて相手に支払いを命じる制度です。
簡易な手続き方法で、裁判(訴訟)の判決と同様の支払い命令を債務者に出すことができ、また、支払督促を行う事で「債務名義」を得ることができます。
この「債務名義」をわかりやすく言うと、「債務者の財産から回収してもよいですよ」という裁判所が公的に認めた書類のことを言います。裁判所から認められたとはいえ、家に行って好き勝手に財産を回収できるわけではもちろんありません。
回収するにあたり必要となる手続きが「執行」というものですが、「差押さえ」という手続きがこの執行にあたります。
債務名義を得ると何ができるようになるか?
債務者が財産を売ったりできない状態にしておき、裁判所の手続きにより強制的に売却をしますが、特に売却できる財産がない債務者の場合は給料も差押さえの対象になります。
対象となる上限金額は、原則として手取り額の4分の1を差押さえることができます。 手取り額が33万円を超える場合には超えた金額の全てを差押さえできることになっています。そのため、手取り額が33万円を超える場合は、超えた分の金額を毎月、債務の返済として回収することができます。
例
手取り給与額が24万円の場合…6万円の差し押さえ
手取り給与額が45万円の場合…12万円の差し押さえ
支払督促の流れ
支払督促はどのように進んでいくのでしょうか。「申立てる側=債権者」が行う手順となりますが、以下のように進んでいきます。
① 「支払督促申立書、当事者目録、請求の趣旨及び原因」となる書面を作成し、(各簡易裁判所に用意されています。裁判所のホームページからもダウンロードが可能です。必要事項を記入します。)必要書類とあわせて裁判所へ提出をして申立てをします。
(申立ては債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に行います。郵送してもよいですし、直接持参してもよいです。)
[必要書類]
支払督促申立書・当事者目録・請求の趣旨及び原因
印紙(請求する金額によって納付する金額が決まっています。)
切手、封筒、はがき
(切手はいくらの切手を何枚用意するか管轄裁判所ごとに決めていますので、
事前に電話で確認することが必要となります。)
資格証明書(法人の場合)
② 簡易裁判所の書記官が申立書を審査して、問題なければ債務者の住所に支払督促が送られ、債権者(申立て人)にはその旨が通知されます。
支払督促の際は債務者の居所が判明している必要がありますので、注意が必要です。
③ 債務者が支払督促を受け取ってから2週間経過しても異議の申し立てをしなければ、
債権者はこの2週間が経過した日から30日以内であれば、「仮執行宣言申立」をすることができます。「仮執行宣言申立」を行うことにより、債権者は債務名義を得ることになり、裁判から債務者へ「仮執行宣言付支払督促」が送られます。
④ 仮執行宣言付支払督促が送られてから2週間の間に異議申し立てがなければ、強制執行の申立てができます。申立てには以下の書類が必要となりますし、何を差押えるかによって手続きや申立先が変わりますので注意が必要です。
[必要なもの]
差押える相手方の財産状況が分かる資料など
仮執行宣言付支払督促正本
同正本送達証明書
支払督促が送られてきたらどうしたら良いか?
支払督促は書類だけのやり取りですから、意見があるのであれば異議申立てをしなければなりません。異議申立ての期限は支払督促を受け取ってから2週間以内です。
異議申立てでは、そんな債務は身に覚えがない、もう既に完済している、時効により消滅している等、債権債務関係があることを否定することもできますし、異議の理由がなければ、分割払いで返済するための話し合い(和解)を希望することもできます。
異議申立をすると、手続きは訴訟に移行しますが、分割払いによる返済の和解内容に従って、今度こそ延滞しなければ債権者も差押さえはできません。ただし、裁判での和解は判決と同様の効力(債務名義)がありますから、和解内容に従わない場合には差押さえに移行されてしまいます。
(支払督促異議申立書の書き方も裁判所のホームページで説明されています。)
もし、返済するお金がなかったら?
支払督促が届いた際に、反論もなく分割払いで返済するお金もない場合には、別途破産手続きなどを検討しなければなりません。分割払いにしても返済できないからといって、支払督促を無視するとたとえ財産と呼べるものがなくても給料を差し押さえられてしまいますので、生活に困ることになります。
まとめ
支払督促が届いた場合は、放置することはせず、反論したい、分割払いをするお金もない等のようなケースには特に専門家である弁護士や司法書士に早急に相談されることをおすすめします。
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