自己破産によって家族にかかる迷惑とは?家族への影響を解説
自己破産を検討する際には、「親が大切に守っている土地を取られるようなことはないのか?」、「娘の就職や結婚に影響するのではないか?」などと、家族に迷惑がかかることを心配する方も少なくないものでしょう。
実際、同居している家族に影響を及ぼさずに自己破産することは難しいといえます。
しかし、だからといって自己破産を回避することによって、より悪影響が家族に及ぶリスクもあります。
そのため、自己破産が家族に影響を及ぼすことと、影響を及ぼさないことを正しく理解することが大切になります。
本記事では、自己破産が家族に及ぼす影響について解説していきます。
1.自己破産すると親に迷惑がかかる?
自己破産は、持っている財産を清算して、債務の支払い義務を免除してもらう手続きです。
自己破産は、個人に対して行う手続きですから、本人のみに自己破産の直接的な影響が及びます。
そのため、たとえば遠方で一人暮らしをする子どもが自己破産したからといって、何の根拠もなしに、親の自宅が差し押えられたり、代わりに厳しい返済の督促を受けたりといったことはありません。
しかし、親が子どもの借金の保証人になっていたような場合には、保証人として主債務者の債務を肩代わりして、債権者に返済しなければならなくなるので注意が必要です。
これは、親子だからというわけではなく、保証人になっていたことによって及ぼされる影響です。
2.自己破産が同居の家族に及ぼす影響
自己破産は、本人を対象にしているものですが、配偶者や子供など同居している家族がいる場合には、影響が必然的に及ぶことにはなります。
自己破産によって、同居の家族が受ける影響には、主に次のようなものがあります。
持ち家であれば自宅から引っ越しが必要
破産者に20万円以上の財産があれば、基本的に、債権者への配当の原資となる「破産財団」に組み入れられます。
破産者を名義人とする持ち家があれば、20万円以上の財産であるため、自己破産によって手放さなければならなくなります。
その結果、当然、持ち家に住む配偶者や子供なども、引っ越しを迫られることになります。
したがって、転校しなければならない、新たな場所で生活を始めなければならない、といった影響を家族に及ぼす可能性があります。
車や一定金額以上の現金がなくなる
破産者のプラスの財産は、基本的に手放さなければなりませんが、すべて手放せば、破産者の今後の生活が成り立たなくなってしまいます。
そのため、一定の範囲内の財産については、破産財団に組み入れられることなく、破産手続開始決定後でも手元に残せることになっています。
このような財産は、「自由財産」といい、破産者が自由に管理・処分できる財産になります、具体的には、99万円以下の現金、破産手続開始決定後に取得した財産、差押えが禁止される家具や家電などが該当します。
しかし、20万円以上の価値がある車や99万円を超える現金などについては、破産財団に組み入れられるので、手放さなければならなくなります。
そういった場合には、家族に影響が及ぶことは避けられないといえるでしょう。
家族カードが使えなくなる
自己破産すると、信用情報機関に事故情報が登録されることになります。
いわゆる「ブラックリストに載る」ということです。
事故情報が登録されることによって、自己破産の場合には5年~10年程度、クレジットカードを使用したり、新たに作成したりすることもできなくなります。
したがって、破産者本人名義のクレジットカードは、使用できなくなります。
そして、それだけでなく、家族カードも使用できなくなるので、家族にも影響が及ぶことになります。
学資保険なども解約になる
解約返戻金が20万円以上になる学資保険があるような場合には、自己破産すれば、解約することになり、その返戻金が破産財団に組み入れられることになります。
そのため、長年子どもの教育資金のためにコツコツと積み立ててきた保険があったような場合には、子どもの進学を断念させることになるなどの影響を及ぼす可能性があります。
3.自己破産が影響を及ぼさないこともある
自己破産によって、家族の進学・就職・結婚などに影響するのではないかと心配する方も少なくありません。
しかし、自己破産の事実は、住民票や戸籍、マイナンバーカードなどに記載されることはなく、周囲の人がこれらの書類などから、自己破産について知ることはありません。
そのため、自己破産によって、直接的に家族の進学・就職・結婚などに不利になることはないので、正しく理解しておくことが大切です。
4.まとめ
本記事では、自己破産が家族に及ぼす影響について、解説していきました。
自己破産は、確かに、同居の家族に影響を及ぼすことになるでしょう。
しかし、「家族に迷惑がかかるから」といって、自己破産を選択肢から外している場合には、より大きな不利益を生じさせるリスクがあるので注意が必要になります。
借金の返済が困難になった場合には、できるだけ早急に弁護士などの専門家に相談して、適切な方法で債務整理を行うことが、家族にとってもベストな選択となることでしょう。
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