債務整理でよく聞く「過払い金」とは?過払い金の計算方法も解説
「過払い金返還請求」という言葉は、CMやラジオなどで耳にする機会も多いものでしょう。
債務整理の手続きでは、過払い金があれば、お金が戻ったり、返済すべき借金の総額が大幅に減額されたりする可能性があります。
このような過払い金は、どのような場合に生じるのでしょうか?
また、過払い金の総額は、どのように計算すればよいのでしょうか?
本記事では、過払い金について計算方法も含めて解説していきます。
1.過払い金とは
過払い金とは、本来支払う必要のない利息を払っていた場合に、貸金業者に返還を請求できるお金をいいます。
消費者金融やクレジット会社などからお金を借りていた場合には、本来定められている利率よりも高い利率で契約していた可能性があります。
そういった場合には、過払い金が発生している可能性が高いですが、貸金業者等から自動的に返還されるものではないので、過払い金があること自体に気が付かない債務者もいます。
しかし、債務整理の際には、過払い金の有無も確認した上で、借金の総額を確定させていきます。
その結果、「借金があると思っていたのに実際にはお金が戻ってきた」「過払い金の引き直し計算によって借金の総額がだいぶ減った」といったケースもあります。
2.過払い金が発生するしくみ
では、なぜ支払う必要のない利息を支払うことになっていたのでしょうか。
その答えは、改正前の出資法と利息制限法という2つの法律の規定にあります。
利息制限法の上限利率
利息制限法では、次のような上限利率を定めています。
貸付が10万円未満…年利20%
貸付が10万円以上100万円未満…年利18%
貸付が100万円以上…年利15%
上限利率を超える利息をとったときには、超えた部分について無効になるとされています。
過払い金が発生するしくみ
利息制限法の上限利率を守った貸付であれば、過払い金が発生することはありません。
しかし、多くの貸金業者や信販会社は、出資法が改正されるまで、年利29.2%という高い利率で貸付をおこなっていました。
なぜなら、改正前の出資法では、年29.2%を超える利率の利息をとった場合に、はじめて処罰の対象になるものと規定していたためです。
つまり、年利29.2%以内であれば、処罰の対象にならないので、出来るだけ高い利率にして利益をあげようとしていたということです。
しかし、利息制限法で定める上限利率を超える部分(グレーゾーン金利)については、貸金業者等が受け取ることは認められないとした最高裁の判決を受けて、出資法が改正されました。
出資法の改正では、年利20%を超える利率で利息をとった場合には、処罰されることになり、グレーゾーン金利については撤廃されることとなりました。
そして、利息制限法の上限利率を超える部分の利息については、過払い金として返還請求できることになりました。
なお、過払い金は、グレーゾーン金利の部分を元本に充当して、計算します。
3.過払い金の計算方法
続いて、過払い金の計算方法について、事例でみていきましょう。
専門家に依頼する場合には、計算方法を覚えなくても、大きな差が生じることが分かれば問題ありません。
【ケース】
たとえば、貸金業者から年利29.2%で50万円を借りていたとします。
そして、毎月2万3000円ずつ返済を続けていったとします。
この場合、1か月分の利息は、年利29.2%で計算すると、50万円×29.2%÷12カ月=1万2166円になります。
返済は、利息→元本の順に充当されるので、2万3000円の返済は、利息分1万2166円を引いた1万834円が元本の返済に充てられることになります。
つまり、1か月後には、次のような結果になります。
利息…1万2166円
元本返済…1万834円(残りの元本は50万―1万834円=48万9166円)
しかし、利息制限法の上限利率(50万円なので年利18%)に引き直して計算すると、利息は、50万円×18%÷12カ月=7500円になります。
過払い利息は、年利29.2%の時の利息から利息制限法の上限利率18%で計算した利息を引いて求めるので、1万2166円―7500円=4666円となります。
過払い利息は、元本に充当するので、次のような結果になります。
利息…7500円
元本返済…1万5500円(残りの元本は50万―1万5500円=48万4500円)
1か月でこれだけの差が出るのですから、返済が長期に渡ればそれだけ違いがでることはお分かりいただけると思います。
また、過払い利息を元本に充てることができる結果、残りの元本は大幅に減っていきます。そして、利息は、残りの元本に対してつくものなので、支払わなければならない利息の額もその分減ることになります。
このケースでは、引き直して計算することによって、年利29.2%で計算した場合よりも完済が約1年も早まることになります。
4.まとめ
本記事では、過払い金について計算方法も含めて解説していきました。
利息制限法の上限利率よりも高い利率で借りていた借金があった場合には、過払い金がある可能性が高いので、債務整理の相談では忘れずに申告することが大切です。
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