特定調停の流れとは?申立てから調停が成立するまで流れを解説
特定調停を検討している場合、事前にある程度「どのような流れで手続きが進むのか」を知っておくことは大切です。
特定調停の手続きは複雑なものではないので、債務者本人だけで進めることも可能です。
本記事では、特定調停について、申立てから調停が成立するまでの流れを解説していきます。
1.特定調停とは
まず、特定調停について、確認しておきましょう。
特定調停とは、契約どおりに借金の返済を続けることが困難になった債務者(特定債務者)が、裁判所を通して債権者と話し合う手続きです。
特定調停では、当初の契約を申立日の元本・利息・遅延損害金の総額を3年から5年かけて返済していくような内容に変更して、債務者の経済面での再生をはかります。
調停手続きにおいては、調停委員と裁判官で構成される調停委員会が、当事者の間をとりもって利害関係を調整していきます。
2.特定調停の手続きの流れ
管轄の裁判所によって多少の違いはありますが、特定調停の手続きは、およそ次のような流れで進められます。
特定調停の申立て
特定調停は、債権者である金融機関等の本店または支店の所在地を管轄する簡易裁判所に申し立てを行うことで手続きが始まります。
申立ては、以下のような書類を作成して、申立手数料と郵送に使用する郵便切手をあわせて裁判所に提出して行います。
たとえば、東京簡易裁判所では、以下のホームページで記入例や様式を公開しています。
(https://www.courts.go.jp/tokyo-s/saiban/l3/l4/Vcms4_00000346.html)
・特定調停申立書(正本・副本)
申立書のひな形に、申立人と相手方の債権者の情報などを記入します。
申立書は、債権者ごとにそれぞれ2部ずつ作成して提出する必要があります。
・特定債務者の資料等
職業や手取り月収などの生活状況や資産・負債などを記入することによって、特定債務者にあたることを明らかにする書面です。
・関係権利者一覧表
お金を借りている金融機関・借入金額・借入時期などを一覧にして、借金の状況について申告する書面です。
・資格証明書
債権者は金融機関等の法人であることが通常であるため、法人の本店所在地、名称、代表者名が記されている「現在事項全部証明書」または「代表者事項証明書」のいずれかを提出する必要があります。
もっとも、提出を省略できる場合もあるので、手続き先の裁判所で確認してみるとよいでしょう。
債権者に申立書などの送付
特定調停の申立てをすると、裁判所から債権者に申立書の副本や申立受理証明書などが郵送されます。
その際には、債務者との「金銭消費貸借契約書の写し」や取引履歴に基づいた利息制限法所定の制限利率による「引き直し計算書」の提出の依頼もおこなわれます。
裁判所における事情聴取期日
特定調停では、申立人は、通常2回ほど裁判所に行くことになります。
最初の期日には、申立人のみが裁判所に呼ばれ、調停委員による事情聴取が行われます。
事情聴取では、借金を予定通り返済できなくなった事情や生活状況、収入、今後の返済方法などを調停委員に話すことになります。
裁判所における調整期日
2回目の期日には、申立人だけでなく債権者も裁判所に呼ばれます。
もっとも、債権者との交渉は調整委員が行うので、申立人が債権者と直接交渉する必要はありません。
期日には、調停委員が、債権者から提出を受けた契約書の写しや計算書をもとにして債務の総額を確定させていきます。
そして、申立人がたてた返済計画案について、債権者の意見もききながら返済方法を調整していきます。
調停の成立または不成立
調整した返済方法について合意に至れば、調停成立となります。
調停が成立すると、調停調書に合意の内容が記載されます。
この調停調書は、公正証書や裁判の判決書と同じ効力を有するため、合意した内容で返済できなくなれば、ただちに給与の差押えなどの強制執行を受ける可能性があります。
一方、債権者との調整がうまくいかなければ、調停は不成立で終了します。
3.特定調停で知っておきたいポイント
特定調停では、個人が申し立てる場合には、債権者1社あたり500円程度の手数料と郵便切手代の負担とかかる費用を安く抑えることができます。
また、本人だけでも進めやすい手続きであるため、弁護士費用も必須ではありません。
しかし、どの方法で債務整理するかを決断する際には、費用だけでなく、返済額全体がどうなるかという観点で判断することが大切なポイントになります。
特定調停においては、任意整理よりも返済しなければならない金額が大きくなる傾向にあるので、専門家の無料相談なども利用して比較してみるとよいでしょう。
4.まとめ
本記事では、特定調停の流れについて、知っておきたいポイントとともに解説していきました。
特定調停は、通常2回程度の期日で進められ、2か月ほどで手続きが終了します。
しかし、債権者が多かったり交渉が難航したりすれば、さらに多くの期日が設けられる可能性もあります。
特定調停をご自身で進める場合には、管轄の裁判所に確認しながら、進めることが大切です。
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