個人再生手続きの流れとは?知っておきたい8つのステップを解説
「個人再生」の方法による債務整理は、多くのケースで弁護士や司法書士などの専門家に依頼して進めることになります。
なぜなら、個人再生の手続きは複雑で、裁判所に提出する書類の作成に相当な労力を要し、不備があれば手続き全体に大きな影響を与えかねないためです。
もっとも、専門家に依頼して個人再生手続きを進める場合でも、依頼者自身も、どのような流れで手続きが進むかを把握しておくことは大切です。
本記事では、個人再生手続きの流れを8つのステップに分けて解説していきます。
1.個人再生手続きの流れ
個人再生手続きは、専門家に依頼した場合には、主に次のような流れで進められます。
① 弁護士などに相談・依頼
② 申立て準備
③ 裁判所への申立て
④ 個人再生委員の選任・履行テスト
⑤ 個人再生手続開始決定
⑥ 再生計画案の提出
⑦ 債権者の議決や意見聴取
⑧ 再生計画案の認可または不認可
では、具体的にそれぞれの手続きをみていきましょう。
2.個人再生の流れ:①弁護士などに相談・依頼
弁護士や司法書士に債務整理を依頼した場合、債権者に受任通知が送付されます。
この受任通知によって、債権者は、債務者に対して直接の取り立てをすることが法律によって禁止されます。
そのため、債権者から借金返済の督促を受けることがなくなります。
なお、相談する際には、事前に債権者の情報や借入に関する情報(金額、借入時期、返済額)、担保の設定の有無、保有する資産の状況、収支のバランス、返済可能な金額の目安などを把握しておくことがスムーズに手続きを進めるポイントになります。
3.個人再生の流れ:②申立て準備
借金総額の確定
弁護士等は、受任通知とともに、債権者に取引履歴を開示するよう請求します。
開示された取引履歴に利息制限法の上限を超過する部分があれば、引き直し計算をして、借金と相殺したり過払い金を返済請求したりします。
そして、借金の総額がいくらになるのかを確定させていきます。
申立書類の準備
個人再生手続の申立ての際には、さまざまな書類の提出が必要になります。
たとえば、申立書のほかに、収入一覧および主要財産一覧、債権者一覧表などの提出が必要です。
これらの書類は弁護士等が作成しますが、依頼者も通帳や不動産登記簿謄本、収入証明など弁護士等から求められる資料を提供する必要があります。
4.個人再生の流れ:③裁判所への申立て
申立書類の準備が出来たら、管轄の裁判所に個人再生手続を利用する旨の申立てを行います。
もし、住宅ローンの返済が残る持ち家を手放すことなく個人再生を望む場合には、その手続きを求める申立ても別途必要です。
5.個人再生の流れ:④個人再生委員の選任・履行テスト
申立てが受理されると、裁判所によっては、「個人再生委員」の選任が行われます。
個人再生委員とは、申立人の財産や収入の状況を調査して、後に申立人が作成する再生計画案に対して指摘やアドバイスを行う役割を担います。
選任された個人再生委員は、申立人の負債や資産について調査して手続が進行できるように調整し、申立人や代理人と面談し、再生手続開始決定についての意見書を裁判所に提出します。
また、裁判所によって多少の違いはありますが、返済能力を証明するために、申立人が個人再生委員の口座に返済予定額を一定期間支払う「履行テスト」が行われます。
6.個人再生の流れ:⑤個人再生手続開始決定
裁判所は、個人再生委員の意見書や申立人への直接の審尋の結果などをふまえて、再生手続開始決定を出します。
再生手続開始決定が出されると、債権者に開始決定書と債権届出書が送付されます。
債権者の届出に対して異議があれば申立人が申述し、債権を確定させていきます。
7.個人再生の流れ:⑥再生計画案の提出
確定した債権について、具体的にどのように返済していくつもりなのかを記載した「再生計画案」を作成して、裁判所に提出します。
8.個人再生の流れ:⑦債権者の議決や意見聴取
提出された再生計画案について、小規模個人再生手続きであれば、債権者の議決が必要になります。小規模個人再生手続では、債権者の半数以上または総債権額の2分の1以上有する債権者が反対すれば、減額が認められないというリスクがあります。
一方、給与所得者等再生手続では、債権者に意見聴取はするものの、反対があっても減額が認められないわけではありません。
9.個人再生の流れ:⑧再生計画案の認可または不認可
債権者の意見と、個人再生委員が選任されている場合にはその意見を踏まえて、裁判所は再生計画案の認可または不認可を決定します。
認可された場合には、およそ1か月後に再生計画案が確定し、法的に借金が減額されます。
そして減額された借金について、再生計画案に基づいて返済していくことになります。
一方、不認可となった場合には、不服申立てが可能ですが、結論が変わらなければ他の手段で債務整理することを検討する必要があります。
10.まとめ
本記事では、個人再生手続きの大まかな流れについて、解説していきました。
個人再生手続は、個人で進めることが容易ではないことがお分かりいただけると思います。
適切な債務整理の方法を選択するためにも、借金の返済が難しくなった場合には、できるだけ早く専門家に相談することが大切です。
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